制作のポイント
PRODUCTION POINTS
商品・モデル撮影のポイント
商品/モデル撮影のポイント
PHOTOGRAPHY
POINT
1
目的や使用媒体を明確にする
パンフレットやカタログ、チラシ、雑誌、ポスター、Webサイト、そしてバナー広告など、さまざまな媒体において、商品やサービスの印象に大きく関わってくるのが写真です。
広告で使われる写真を撮影するにあたってポイントとなるのはその目的や使用媒体を明確にすること。
写真を通じてどんなイメージを伝えたいのか、何をアピールしたいのかといった目的をしっかりと設定した上で、伝えたい世界観やコンセプトを構築し、それにあったトーンや質感、ストーリー性などの方向性を考えます。
また媒体の特性に合わせて、主役となる商品や人物モデルなどのレイアウト、さらには縦位置、横位置といった適切な画角なども意識して写真撮影を行うことが重要です。
POINT
2
ターゲット層を明確にする
広告写真を撮影する上で、その広告が誰に向けたものなのかというターゲット層を絞り込んでおくことも大切な要素です。
同じ商品の写真でも、女性誌に掲載されるのか、男性誌なのか、若者なのか、年配なのかといった年齢層などによって異なる世界観やコンセプト、トーンが求められます。
ターゲットを明確にしておくことで、ライティングや背景イメージ、モデルの衣装やヘアスタイル、小道具の有無などの方向性が見えてきます。
またカメラマンをはじめ、撮影に携わるスタッフの理解をも深め、よりよい仕上がりの写真に繋がります。
POINT
3
ライティングにこだわる
商品の素材や色、形状によって最適な撮影方法は異なってきます。
商品をより魅力的に見せる撮影のコツをご紹介します。
■金属質感を高める
Before
照明を当てる角度が悪く、直接光を当てているため光沢感は出ていますが周囲の空間が写り込んでしまい商品の質感、形状をうまく表現できていません。
After
面光源の照明を使用することで周囲の写り込みを制御して商品シルエットを明確にし、エッジに影を置くことでコントラストを持たせメリハリある金属質感を表現しています。
■食品のシズル感
Before
ぱっと見の印象はそれほど悪くはありませんが、全体的に均一に光を当てているため果物の瑞々しさを表現し切れていません。
After
果肉や表面の質感を強調し、瑞々しさを感じられるように、ハイライトの位置や影の向きを照明角度で調整しています。
■透明感の演出
Before
透明に撮影できていますが、商品のエッジが白背景に溶け込んでしまい、商品形状が良くわからないぼやけた印象の写真になっています。
After
背景から光を当てる「透過光」撮影でグラス内部の明るさを調整し、エッジに黒を写し込むことで商品の形状を損なうこと無く「透明感」を演出しています。
POINT
4
シチュエーションを考える
コンセプトに基づいて、撮影するために最も適した場所を選ぶことが、クオリティの高い広告写真には欠かせません。
並木道や自然、ビル街などの屋外 ロケーション、またより細かい光のコントロールが可能な空間を持つ撮影スタジオや、生活空間を模した背景があらかじめ作りこまれたハウススタジオなど、さまざまなシチュエーションが考えられます。
屋外ロケーションのポイント選びにおいて、ストリートビューを活用することも有用です。
しかし季節や天候、撮影時間による光の印象の変化といったクリエイティブ面、さらには公園や公共施設、私有地など、撮影許可が必要になる場合も考えられるので、実際にロケハンを行うことが重要となります。
また、撮影スタジオ選定にあたっては、その広さや必要となる機材、メイクルームや控室の有無などを確認することが大切です。
さらに、自然光が入るハウススタジオでは、その空間のイメージをWebなどで事前にチェックすると同時に、時間によって光の印象がどう変わっていくかをリサーチしておくことが大切です。
POINT
5
事前準備の重要性を考える
撮影において、事前準備はその写真のクオリティをも左右する重要な要素です。
カメラマン、スタイリストやモデル、ヘアメイクなど、撮影に参加する全員でのコンセプトや世界観の共有にはじまり、どんなカットが必要でそれをどのように撮影するのかが一覧できるカット表や、必要な撮影時間に合わせて、タイムスケジュールが記載された香盤表を作成し、小道具や備品の手配や駐車場の確保など、細かな当日の段取りまでしっかりと打ち合わせを行い、余裕をもったスケジュールで撮影に臨むことが大切です。
参考サイト | |
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小道具選び | |
ヘアメイク依頼 | |
スタイリスト依頼 | |
撮影アシスタント依頼 |
POINT
6
撮影するカットの詳細を確認する
その目的や使用媒体、コンセプトによっても変わりますが、人物モデル撮影においては、全身ショットから、ウエストショット、バストアップ、クローズ アップといったさまざまなアングルや、衣装、ヘアスタイル、表情、ポージングなど、また商品撮影においても、アングルや小道具の有無、背景、切り抜き用といった用途、さらには料理撮影におけるシズル感の表現など、撮影当日には数多くのカットを撮影することが想定されます。
また、クライアント立会のもと確認しながらの撮影や、立会がなくお任せで撮影が進行するなど、さまざまなケースが考えられるので、事前に作成したカット表や香盤表をもとに、撮影内容に漏れがないか、スケジュール通りに進行しているか、撮影カットの詳細をしっかりとチェックすることがきわめて重要になります。
POINT
7
画像処理を考える
撮影された写真を仕上げるために欠かせないのが、デジタル現像やレタッチという工程です。
撮影された写真は、通常RAWファイルというデータ形式で記録され、そのままでは印刷やWebなどで表示することができません。
デジタル現像はこのRAWファイルを専用ソフトを使用して、Webや印刷で表示できるような画像データ(JPEG/TIFF)に変換する処理で、明るさやトーン、コントラストなども調整します。
さらにレタッチではトリミングなど、サイズの変更から、映り込んでしまったゴミなど不要物の除去、人物の肌をよりなめらかに整えたり、商品がよりクリアに見えるよう質感を調整したり、切り抜きや背景を合成したりといった修正、加工を行い、最終的な完成イメージに仕上げていく作業です。
画像処理は写真のクオリティを決定する重要な作業で、広告写真において必要不可欠なものといえます。
POINT
8
納品データ形式
完成した写真を納品するにあたって、その目的や媒体にあわせた解像度や画像データ形式に変換し、記録メディアやオンラインストレージといった受け渡し方法も確認しておくことが大切です。
また他媒体での二次使用の可能性や、著作権や肖像権など、写真の使用条件を明確にしておくことも重要です。
主なデータ形式と特徴
内 容 | |
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JPEG | Web用途に適した形式、フルカラーでデータ容量が少ない。 |
PNG | Web用途に適した形式、フルカラーで透明や半透明といった表現が可能。 |
TIFF | 印刷用途に適した形式、画質の劣化がなく、高い解像度が必要な場合に使われる。 |
PSD | Adobe Photoshopで扱える形式、レイヤー情報を保持していて、加工・修正が容易に行える。 |